第4回:食事相談のほほえみは、健康の鏡。
2025年 03月 28日
特定保健指導で、ある福祉団体に伺っていたときのこと。
面談のスタートから、おいでになるみなさんは穏やかな雰囲気。
ところが、5番目の方との面談で、
雰囲気は一変しました。
ノックなしに、いきなり面談室に入室されたのは、
男性管理職のSさん(57歳)。

こちらがお声をかける間もなく、
持っていた書類をバサッと机の上に置いて、
「さっさと面談を始めてよ」と。
その勢いに驚きながらも、
「特定保健指導のご案内などで、
なにか失礼なことがございましたでしょうか」と
お声かけをしました。

すると、Sさんは、「いや、あなたじゃないんだけどね」。
「どういったことがございましたか。
お差し支えなければ、お聞かせいただけませんか」
「それはね、……」
こんなやりとりを始めたことで、
Sさんのご体験や、お感じになっていることが
明らかになってきました。

おっしゃったのは、こんなこと……。
*昨年も特定保健指導を受けたけれど、
そのときの面談担当者とは初対面。
最初に、Sさんに名を尋ねたとき、
フルネームで名乗るよう指示された。
それでいて、その担当者自身は、
苗字しか名乗らなかった。
*昨年の面談では、「メタボ予備群」と言われ、
「このままだと生活習慣病になる」と
一方的に決めつけられて不快な思いをした。

*どうせ今年も同じことを言われるのだろう、と思ってきたので、
なんとなくムシャクシャしてきた。
そんなお話を、ゆっくりと問いかけて伺いました。
「そうでしたか」
「そのとき、Sさんはなんとおっしゃったのですか」
「確かにご気分を害されるかもしれませんね」
などと、問いかけたり、共感したりしながらセッションを続けました。
(前回の担当者の批判は意識して避けました)

すると、10分とたたないうちに、
Sさんの表情や態度が柔らかくなってきました。
入室されたときの攻撃的な態度が
すっかりなくなってきたのには驚きました。
けして、こういう場面を想定して
準備していたわけではなく、
いつものように対応しただけなのに。
後日、このセッションを振り返ってみて、
ほかでもありそうなこんな場面に関して、
対策があるように思いました。
そこで、そのポイントを書き出してみました。

◎面談前には自分の服装や表情を
チェックすることを習慣にする。
(明るさや清潔さ、フレンドリーな表情など)

◎お相手をにこやかにお出迎えする。

◎明るい声でごあいさつをする。
(もちろん、おじぎも)
◎こちらの自己紹介はフルネームで。
◎「健診結果をご覧になりましたか」など、
ていねいなコトバづかいを心がける。

◎「健診結果をご覧になっていかがですか」など、
お相手が主体になる問いかけをする。
◎「病気になる」など、「脅し型の指導」は避ける。
基本的に、人は、自分の話をていねいに聞いてもらうことは
不愉快なことではなく、
むしろ、快いことなのではないでしょうか。
それは、担当者が、お相手に迎合することとは異なります。
ゆったりとしたお話し合いは、
その場の空気を柔らかくします。

それらは、担当者の
食事相談のための基本スキルと言うよりも
自分の環境を、より健康的にするための基本スタイルでしょう。
相手かまわず〝お愛想笑い〟をするのではなく、
自分が平穏に生きていること、
健康環境の向上に参加していることの喜びが、
表情や身だしなみに自然と現われる……
そんなほほえみと考えればよいのでしょう。

そのほほえみは、
まずは自分自身をハッピーにしますし、
家族、ご近所、同僚、ペット、植物との関係も
ハッピーにしてくれるはずです。

