第3回:「歩く意味」は、人それぞれ……だから。
2025年 02月 11日
以前、企業の健康相談を担当させていただいたときのお話です。
お見えになったのは50歳代の管理職の男性、Gさん。
特定保健指導のご対象ではないのですが、少し小太りの方です。
問診票や健診結果を拝見しながらお話を進めてゆくと、
こうおっしゃいました。
「僕、運動不足なんですよ。
だから、歩けばいいと思っていて、
健診を受けたあと、2~3日は30分くらい歩くんです。
でも、長続きしないんですね。
お恥ずかしいんだけれど、いつも三日坊主。
みんな、どうやって継続しているんでしょうね。
長続きさせるコツって、ありますか」

さらにお話を伺うと、こんなことがわかってきました。
*学生時代から社会人になって以降も、特別な運動習慣はない。
*管理職になる前までは営業担当で、
日常的に1日1万歩くらいは歩いていた。
*現在は、1日5,000歩くらい。おもに通勤で歩いている。
*ときどき、携帯の歩数アプリで歩数を確認することがある。

*数年前に家族から、
「体重が気になるなら、歩いてみたら?」と言われたこともあり、
なんとなく「歩く」ことはたいせつと思うようになった。
*毎年、体重が少しずつ増えている。
それが気になって、健診を受けたあとは、
1駅手前で降りて歩いて帰るが、数日で飽きてしまう。

そこで、
歩くことが習慣化していらっしゃる方の事例を、
少しだけご紹介させていただきました。
*Aさん
30年以上同じ地区にお住まい。
公園などの場所もよくご存じで、1日往復1時間、
きょうはこの場所までと、時間や場所を決めて歩いておられる。
制限時間内に歩くことができると、とても達成感を感じられるそう。

*Bさん
意外と地元のことは知らないと気づかれたそうで、
地図アプリを使いながら、「碑」をめぐっておられる。
地元の歴史や云われも知ることができると教えてくださった。
最近は地元以外にも行動範囲が広がっておられる。

*Cさん
出勤前に遠回りして、30分歩いてからご出勤されている。
歩いている時間は、
おもにその日の仕事の流れについて、頭の中で整理されている。
この時間があることで、その日の仕事がとてもスムーズに進むとのこと。

ここまでお話をさせていただいて、私自身が気がついたのですが、
歩くことが習慣化されている方は、
なにかしらの「目的意識」を持っていらっしゃるように感じました。

もちろん、
歩くことそのものを楽しんでおられる方もいらっしゃるでしょうが、
歩くことに意味を見つけた方は、こちらが促さずとも、
自らの意思で歩いておられるようです。

保健指導では、
歩くことを健康づくりの一環としておすすめすることも多いのですが、
単に歩くことをすすめるだけではなく、
その方にとっての「歩く意味」という、もっと深い目的を、
問いかけて、ご一緒に見つけてゆくことがたいせつなのだと
改めて思いました。

そして、先ほどのGさんですが、
歩数アプリをご確認なさるタイミングを伺うと、
「ポイントが貯まっているか、気になったとき」とのこと。
Gさんがお使いのアプリは、歩数に応じてポイントが付与されて、
そのポイントは、スーパーなどでお買い物券として利用できるものだそうです。
「そうか。『ポイ活』すればいいんだ」。笑顔でGさんはおっしゃいました。
ていねいに問いかけを深めたことで、
Gさんも歩く意味を見つけられたようです。

歩き方は人それぞれでしょうが、
その「それぞれ」のいくつかを書き出したりして(5~10個とか)、
健康相談のときの話題にできるように
準備性を高めておく意味はあると思います。

